急速に社会状況が変化する近年、法的なリスクは多様化、複雑化する一方です。そんな中、顧問弁護士と契約してリーガルサポートを受ける企業が増えています。
今回は、顧問弁護士の選び方について詳しく解説します。ビジネスに関する考え方や価値観が合うかなど、選び方のポイントを理解して顧問弁護士と継続契約を結びましょう。
顧問弁護士とは
顧問弁護士というのは、企業や個人事業主と継続的な契約を結び、リーガルサポートやサービスを提供する弁護士のことです。
会社の就業規則や契約書などを作成したり、さまざまなトラブルを法的に解決したりするサポートや、トラブルを未然に防ぐアドバイスを行います。法的観点から継続的に会社をサポートするのが顧問弁護士の仕事です。
継続的にサポートするためには、ビジネスに対する考え方や価値観が経営者と合うかどうかも、顧問契約を結ぶときの重要なポイント。ときには経営者の相談相手として会社の運営に携わる場面もあるので、顧問弁護士の選びでは、経営者との相性も大切です。
次項からは、顧問弁護士の選び方にスポットを当てながら解説していきます。
顧問弁護士の選び方のポイント
顧問弁護士の選び方には、いくつかの大切なポイントがあります。会社の経営を継続的にサポートしてもらうには最初が肝心です。
ここからは具体的な選び方のポイントについて、ご説明します。
経験豊かな弁護士であること
顧問弁護士のリーガルサポート及びサービスの内容は多岐にわたります。
<リーガルサポート及びサービス内容>
- 業界の事情
- 担当するビジネスの内容
- 担当するビジネスの関連法規
- 担当するビジネスのリスク など
企業で十分な力量を発揮する顧問弁護士を選ぶために重要なポイントは、企業法務に関する実績があり、経験豊かな弁護士であることです。
IT企業が活動範囲を広める近年において、たとえばAI・人口知能やIot、車の自動運転装置など革新的な新技術を取り込んだビジネスも増えています。そのような新しい業界では、知らぬ間に法律違反をしていたというケースも少なくありません。
顧問弁護士を選ぶ際は、自社のビジネスモデルを説明したうえで適法性のチェックを行い、経歴を提出してもらって経験した案件も確認しましょう。より幅広い知識と経験をもつ弁護士と顧問契約を結ぶのがおすすめです。
担当するビジネスに対して理解している弁護士であること
自社のビジネスに対して知識が乏しい弁護士や理解していない弁護士は、いくら法律家であるとはいえ、その企業の顧問弁護士には向いていません。
顧問弁護士の選ぶときには、自分のビジネスに関しての理解と知識をもち、それに対する法的知識をもっていることを確認してから、顧問契約を結びましょう。
コミュニケーションを取りやすい弁護士
顧問弁護士とは契約後長く付き合っていかなければなりません。
顧問弁護士を依頼する目的は、企業を維持するために法律上のアドバイスや法律的な解決策を提供してもらうことです。会社の規約の取り決め、トラブルの予防や解決のリーガルサポートを受けることのほかに、日常的なさまざまな法律相談にのってもらうことも重要な目的です。
顧問弁護士の選び方では契約する弁護士と話し合い、経営者自身との相性を重視しましょう。仕事上での相性が合わない場合、顧問弁護士の役目を十分に活用できない可能性があります。
仕事上での顧問弁護士との相性については、以下のようなポイントに注目して判断しましょう。
- 説明のわかりやすさ
- レスポンスの速さ
- バリエーション豊かな解説の方法をもっている
たとえば複雑な問題であってもわかりやすい説明であれば、顧問弁護士とスムーズにコミュニケーションをはかれます。しかし専門用語を並びたてられるだけでは理解できず、コミュニケーションはスムーズにいきません。質問や問題点に対する応答のスピードは、その後の段取りのスムーズさにつながります。
連絡が取りやすいこと
緊急を要するトラブルや急ぎの相談がある場合に、連絡が取りやすいことも顧問契約では重要な点です。折り返し連絡を求めてもなかなか連絡が取れず、結果的にタイムリミットとなりトラブルに発展してしまうというケースもあります。
近年ではソーシャルネットワークの進化で、メールのほかにLINEやチャットワーク、またオンラインツールでコミュニケーションを取る企業も増えています。
たとえば複数人で一度にコミュニケーションを取りたい場合には、チャットやオンラインツールが非常に便利です。連絡手段のバリエーションが多いと連絡が取りやすく、レスポンスの速さにも影響します。
心理面に対して配慮ができるか
経営上の問題や資金のこと、人権損害などのデリケートな相談をするときは、経営者側もナーバスな心理状態になるものです。そのようなときに経営者や従業員の不安な気持ちに寄り添い、心理面に対しての配慮をしてくれる顧問弁護士はおすすめです。
近年、職場内での人間関係からうつ病を発症する従業員や、ハラスメントをめぐるトラブルが増えています。また、経営の低迷による人員削減のための労働者の解雇などもあるでしょう。
このような従業員に関するトラブルでは、法的な対策も重要ですが、従業員の心理面においてもいかに配慮できるのかがトラブル解決の大切なポイントとなります。
顧問弁護士と契約するタイミングとは
顧問弁護士の選び方を理解したものの、顧問弁護士をつけるタイミングは各企業さまざまです。企業開設時に一緒に顧問弁護士をつけてしまうのが一番よいタイミングといえるでしょう。
ここからは、顧問弁護士をつけるタイミングについて具体的に解説していきます。
会社設立のとき
会社を設立したときに顧問弁護士をつけると便利ですし、これからはじまる経営にも安心感をもてるでしょう。新しい会社は契約書や就業規則など、さまざまな法的な決めごとや書類の作成が必要です。
設立した会社のニーズに合った顧問弁護士を早々に選んで顧問契約を交わし、リーガルサポートやサービスを受けられると、安心して経営業務に打ち込めます。
法的なリスクのある事業をはじめる時期
事業拡大のために法的リスクのある事業に手を伸ばそうとする場合や、海外取引に踏み出そうとするタイミングで、顧問弁護士と継続契約する企業もあります。新しくはじめる分野に詳しい法律家を顧問弁護士として選べば、リスクを回避する予防策になるでしょう。
契約書など改正を行いたいとき
社会の状況の変化に伴い、クライアントの経営状態及び、自社の経営状況が変わることもあります。
- 契約書
- 就業規則
- 事業内容をチェック など
このような法律に関わる法的な取り決めを見なおし、改正を行わなければならない時期に、経験豊かな弁護士を顧問弁護士として継続契約するのもおすすめです。
まとめ
近年、企業を取り巻く法的リスクは年々多様化し、さらに複雑化しています。ニーズに合わせ、ビジネスに対する考え方や価値観の合う弁護士を選ぶことが重要です。適切な顧問弁護士にリーガルサポートやサービスを受けるのは、企業の経営や運営の安心につながるでしょう。
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