「中小企業を経営しているが、トラブルに見舞われたくない」と考えていませんか。紛争を予防するためには、世間で起こっている紛争の原因についてよく知ることが重要です。適切な対策を施しましょう。
今回は中小・零細企業の経営者のために、紛争の原因から対策を立てるコツを解説します。この記事を読めば、トラブルの回避法がわかるでしょう。
企業がトラブルに見舞われる原因
まずは、企業がトラブルに見舞われる主な原因を3つ解説します。不利な条件での発注、債権回収の失敗、損害賠償の発生事案に気をつけましょう。
不利な条件での発注を受ける
仕事を受注する際は、知らないうちに不利な条件をのまされていないか気をつけましょう。知名度の低い企業に対して、相手側が都合のいい条件で契約を結ばせる可能性があります。
たとえば作業内容や材料の割に、発注価格が不当に安いケースが想定されます。「プログラムだけの納品のはずが、ソースコードまで求められる」というように、発注価格を変えないまま業務内容を増やされることもあるでしょう。
規模の小さな事業者は、仕事を断ると先がないと思い、不利な条件を受け入れてしまいがちです。しかしそうなると企業活動に悪影響になります。収入減による経営難や、業務スケジュールに支障が及ぶかもしれません。仕事を受ける取引は契約書を交えて進め、慎重に話し合いましょう。
債権を回収できない
受注済みの仕事を終わらせたのに、相手が必要なお金を払わないという「債務不履行」があります。自社にとって、債権を回収できない状態です。
たとえば工事の出来が悪いことを理由に、発注業者が代金を払ってくれないのが代表例です。弁護士を通した話し合いをしても、相手が支払い義務に異議を唱えることもあります。
訴訟しようにも、一定の費用がかかることに注意です。中小・零細企業には金銭的な負担が大きいでしょう。債権回収をめぐるトラブルがないように、取引相手の信頼性を見極めることが大切です。
損害賠償請求
企業活動中は、トラブルによる損害賠償請求を受けることがあります。たとえば仕事中や提供商品の使用中にケガ人が出ると、損害賠償の可能性が出るでしょう。
事故以外にも、取引先の契約違反や違法行為により損害を受けるケースもあります。自社、または相手側に明確なコンプライアンス違反があるからです。トラブルによってお互いのどちらかに損害が生じると、裁判沙汰になることがあります。
企業の紛争を予防する方法3つ
企業の紛争を未然に防ぐには、以下の3つを心がけましょう。価格交渉は適正額と照らし合わせながら進めてください。ほかにも取引時には契約書の作成や、コンプライアンスの遵守といった取り組みが大切です。
価格交渉は要求額と適正額の差を検証
価格交渉は適正な額にもとづいて決めましょう。たとえば、仕事を発注する業者から金額を減らす要請を受けた場合です。このときは、決裂を避けながら落としどころをみつけましょう。
相手から減額要請を受けたら、すぐにのむのは推奨できません。原価計算などを理由に一度持ち帰りましょう。
類似の受注における過去の金額の推移をチェックしてください。たとえば、商品の相場が1点110円だったところ90円を求められたら、「100円より安くはできない」という風に回答しやすくなります。
原材料費や過去の発注ケースなどの資料をそろえ、相手に納得してもらえるように自身から価格を提案しましょう。
契約書の作成
仕事の受注時は、金額や業務内容、特約などを盛り込んだ契約書を作成します。このとき、支払いの期限を定めるのもおすすめです。
お金のやり取りは、銀行の口座振り込みが望ましいといえます。紛争時は支払先としての口座データも証拠に使われるかもしれません。口約束だったり、期限を定めなかったりすると、支払いを踏み倒されるようなトラブルになりやすいです。紛争を防ぐためにも、契約書の作成を習慣化しましょう。
コンプライアンスの徹底
中小・零細企業も将来的な成長を見据え、コンプライアンスを遵守しましょう。弁護士と顧問契約を結ぶことでコンプライアンスがわかり、正確に守れるようになります。
コンプライアンス遵守や顧問弁護士のアドバイスを受けることは、大切にしてください。トラブルが起きてもスムーズに対応したり、公平な内容の契約書を作成したりするためです。
小規模事業者は大企業のように経済的な体力がないため、一度トラブルに見舞われると損害が大きいといえます。トラブルフリーの企業活動のために、コンプライアンスの徹底を心がけましょう。
まとめ
中小・零細企業は一度トラブルに見舞われると、ダメージが大きくなりがちです。紛争予防のために、あまりにも不利な条件の仕事は受注しないようにしましょう。契約書の作成やコンプライアンスの遵守も日々心がけてください。トラブル対策として顧問弁護士との契約もおすすめします。
企業活動時は、いつどこでトラブルが起きるかわかりません。常に最悪の事態を頭の片隅で考えながら、対策を講じることがおすすめです。自社はコンプライアンスを守りつつ、相手に不利な条件をのまされないように気をつけましょう。
ソエル法律事務所では、中小・零細の事業者を相手にした企業法務を扱っています。契約書の作成から紛争予防、M&Aなどさまざまな場面でサポートする所存です。取引や紛争時に不利な条件をもちかけられたときも、所属弁護士と顧問契約を結んでいれば、いつでも相談できます。トラブルに備えたいと思ったら、ソエル法律事務所までお問い合わせください。